奥の院「夜景」

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6×6判 100㎜F3.5 EPP
撮影ノート
成田山の撮影をはじめたころ、テーマと枚数を決めて作品を作ろうとしたことがありました。ただ撮影しているだけでは気づかない世界に、自らをせき立てようと考えたのです。
そんな中に「夜景」のテーマがあったのですが、それから一年も経ったころです。撮影に油が乗ってきて、まだ夜景で撮れるものはないだろうかと、夜更けの境内に足を踏み入れました。釈迦堂から額堂へと石段を登ってゆくと、後ろから何か付いてくるような気がします。振り返っても何もいません。光明堂裏の脇を通ると、奥の院が夜間照明に照らされていることに気が付きました。急いで家に戻り、夜なので6×6一眼レフを手に戻ってきました。しかし、その時はフィルムホルダーを石畳に落としてしまい、高い修理代を払うことになりました。やむなく、修理後に撮影をすることになりました。
その撮影結果は、とても満足のゆくものでした。気を良くした私は、後に4×5判でも撮り直したのですが、今度は何も写っていないのです。そこで、奥の院は、この作品で完結したのだと考えることにしています。