成田で開いた最初の写真展「成田山新勝寺の美」は、ギャラリーの関係で１２日からの予定が７日からに変更になりました。その初日、友人のお祝い酒に酔って店を出ると雪が降っていました。３月の雪です、積もると思わずに朝寝していると、母親に起こされました。「雪だよ！」と。淡い雪に空が青く晴れ渡っていました。成田山に駆けつけて、撮影したのが「春雪の平和大塔」です。

母が亡くなり、お通夜を終えた朝は快晴で、ほんのわずかな雪がありました。十五年前は、写真展で休暇を取ったおかげで撮れた写真で、お不動様からご褒美をいただいた、と思っていましたが、母が起こしてくれたおかげだったと感謝しました。そして、初七日を終えた翌日、また、雪景色となって、真っ青な空がありました。前夜の天気予報にはない雪でした。それは、かつての雪ほどではないけれど、梅も咲いて、その日、一度限りの風景がありました。

１５年たっても再現されない「春雪の平和大塔」が母の撮らせてくれた平和大塔なら、初七日明けの平和大塔も、母ののこした贈り物だ、と感謝し、翌年の一月、成田山書道美術館二階会議室で「母の撮らせし平和大塔」として写真展を開き、見ていただきました。