ふるさと古寺巡礼 ―印旛・香取、古寺名刹の世界―

ふるさと古寺巡礼 ―印旛・香取、古寺名刹の世界―

法宣寺「南天光る境内」

「南天光る境内」

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妙長山法宣寺
八街市根古谷
長禄元年(1457)創建
日蓮宗
本尊・十界勧請諸尊

撮影データ
90㎜F5.6 F22 1/8秒 EPP
平成10年12月22日

撮影ノート

根古屋城主の子息が難病を患った際、平賀本土寺の僧、日意上人が鹽古地区を通り、七日間の祈祷と本土寺に伝わる妙符によって、これを治しました。これに感謝した城主が一寺を建立したのが法宣寺の始まりであると言われます。ところが、このお寺には、日蓮自身が伊豆に流される前年に自ら供養の法要を行った日蓮の生御影というものが安置されています。一体しかない貴重なものである、とのことで、難病平癒、難産、厄除けに効があるとされます。流刑の前年は1260年にあたりますが、日蓮自身が1264年にこの地を通り、白馬の祟りを止めた、との言い伝えがあります。

香取郡神崎町の神宮寺には、下総国塩古郷の僧たちが、貞治二年(1363)に写経し、奉納した大般若波羅密多経の経典(県指定文化財)が残されています。この地域には、日意上人の活躍以前からの古い伝統があったことが分かります。

良く整った境内は、山門の先、左手の石垣の上に祖師堂があり、正面に本堂があります。右手回廊の奥には庭園も整備されています。山門の脇には、双体道祖神もあります。幕末から明治初期にかけては茶店の出るほどの賑わいをみせたそうで、今は、水田の先に山門が見えて、時折、信者が出入りする姿がみられます。

その道祖神を撮影しようと、冬の早朝に訪れたものの、良い光に恵まれませんでした。そこで本堂の前に進むと、南天の実が真赤に色づいています。本堂を背景とし、朝日の反射が美しい構図に気がつきました。赤い実と葉が陽の光を反射して光っており、滑らかな質感をとらえることが出来ました。