ふるさと古寺巡礼 ―印旛・香取、古寺名刹の世界―

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花見寺「講の日の堂内」

「講の日の堂内」

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天竺山花見寺
小見川町織幡
創建・奈良時代後期
真言宗
本尊・薬師如来

撮影・平成11年4月8日
4×5判 135mmF3.5 F8 1秒 ElOOs

撮影ノート

今、花見寺を訪ねて行くと、路傍に小さなお堂が一つあるだけで、それは見落としてしまいそうな小庵です。

奈良時代後期に創建され、中世には在地豪族の木内氏などの外護により栄えたと伝えられますが、江戸時代末に廃寺となり、堂宇も荒れ果てて取り壊されてしまいました。今に残る小庵は、当時の薬師堂であり、花見寺に伝えられた仏像が保存され、織畑地区の所有となっています。

昔、村人は、この薬師様の前を通る時は、牛馬をつれて通ることは、絶対しなかったのだといいます。そして、必ず頭を下げて通ったのだとも言います。目の病気は必ず治ると言われ、縁日には近在からたくさんの信者が集まったと聞きます。そんな古剥が、仏教を国教とする江戸時代に、どうして廃寺となってしまったのでしょうか。

木造十一面観世音菩薩立像一体と、薬師如来立像、阿弥陀如来、観世音菩薩、十一面観世音菩薩の四体の銅造立像があって、県指定の有形文化財となっています。その内、木造十一面観世音菩薩は像高1.3メートルのカヤ材の一木造りで、朴言内な作風です。様式としては平安調であるものの、衣の線などから見て、鎌倉初期のものと考えられています。

桜が咲いた時を見計らって出かけてみたものの、良い構図を得ることは出来ませんでした。すると、女性たちが集まって来て、閉ざされたお堂を開けはじめるではありませんか。聞けば、月に一度の講の日なのだと言います。そこで、堂内に入ることを待ってもらい、内部を正面から撮影させていただきました。願ってもないチャンスに恵まれての撮影となりました。