泉福寺「薬師堂雪景」

撮影ノート

茅葺きの屋根も堂々たる泉福寺薬師堂は、国指定の重要文化財となっています。その創建年代は不明ですが、弘治2年(1556)に消失し、その後再建されたとのことなので非常に古い寺であることは間違いありません。薬師堂は室町時代末期の様式であるとのことで、消失後、ほどなく再建されたのでしょう。

平成10年の雪の日、私は仕事に向かう前に新勝寺光明堂の撮影を行ないました。「成田山新勝寺 -その美と世界-」で見ることのできる「光明堂雪景」です。勤務明けの翌日は、泉福寺を撮影することにし、昼前に到着することができたのですが、前日の撮影で使用したレンズは雪のために内部に曇りが生じてしまっていました。やむなく焦点距離の一段長いレンズを装着し、石段ぎりぎりまで引いて撮影することになりました。

そのような雪の朝でも、境内にお参りし、花を供える信者がいます。この写真に作品として生気と潤いを与えているのは、実は、雪よりも、そんな信者の、生きた信仰です。それは、この風景からお堂に供えられた花を取り除いた姿を想像すれば明らかでしょう。この一輪の花がなかったならば、冬の日差しに照らされた重要文化財のお堂といえども、もっと乾燥した、即物的な姿を見せていたに違いありません。

泉福寺「薬師堂雪景」
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泉福寺
印旗村岩戸
創建年不詳
真言宗豊山派
本尊・薬師如来

撮影・平成11年1月10日
4×5判 210mmF5.6 F22 1/15秒 EPP
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