ふるさと古寺巡礼 ―印旛・香取、古寺名刹の世界―

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結縁寺「睡蓮の咲く池」

「睡蓮の咲く池」

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晴天山西光院結縁寺
印西市結縁寺
創建神亀元年(724)
真言宗豊山派
本尊・不動明王

撮影・平成9年6月1日
4×5判 150mmF5.6 F22 1/15秒 EPP

撮影ノート

結縁寺は「けちえんじ」と読みます。創建は古く、聖武天皇の御代、行基菩薩が諸国を巡り、この地にきて小堂に立ち寄りました。その草堂にはご本尊がなかったので、行基が阿弥陀三尊を彫刻して安置したのがはじまりです。以来、法相宗の僧が住んでいたのですが、天慶年中(938~47)に真言宗の僧が住むようになり、春と秋に結縁潅頂を行うようになりました。これが結縁寺の寺号の起こりとなっています。この寺は、また、源頼政の墓があることでも有名です。治承の乱で討たれた頼政の首を、下総国下河辺藤三郎清恒星という人が笈にいれてこの地に来たとき、にわかに御首が重くなり、住僧に頼んで葬ったのだと言います。

寺宝の銅像不動明王立像は、像高47cmの小像だが、迫力のあるものとのことです。密教諸尊の不動明王像は120点余あると言われていますが、銅像のものは三例に過ぎないのだそうです。嘉元元年(1303)9月15日の陰刻があり、国指定の重要文化財となっています。

寺院の前の池は水蓮で埋め尽くされており、その花の咲く時を待って撮影することにしました。何度も訪問するうち、ついに花の咲く時を得ることができたのですが、もう一つ、花に勢いのないことが惜しまれました。しかし、この蓮によって池が汚れて困る、と言うことで、この撮影の後、刈り取られてしまったのでした。

晴天山という山号は、晴天の日に蓮が咲くことから付けられたとのだ聞きます。地元の方々にも事情がありますが、淋しい思いがぬぐえません。