ふるさと古寺巡礼 ―印旛・香取、古寺名刹の世界―

ふるさと古寺巡礼 ―印旛・香取、古寺名刹の世界―

不動堂「小径の石仏」

「小径の石仏」

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印旛村平賀
詳細不明

撮影・4×5判 135mmF3.5 EPP 以下不詳

撮影ノート

式内社、麻賀多神社の印旛沼御渡りの鳥居から印旛沼方面(今は干拓により細い水路を残すのみですが)を望むと、一つの大きな独立した台地の「山」があります。花島山です。この台地上には、かつて七堂伽藍の大寺がそびえ、沼に帆掛け船、はるかに筑波山を望む天下の名勝であったと「利根川図誌」に書かれています。その花島山から南に少し下ったところで印旛村平賀の台地に上ると、すぐ右側に「仁王尊」があります。

こじんまりとした仁王門は、両側に木槌や大きな下駄、板の上に乳房をかたどったと思われる品々が奉納されています。その先、本尊の大日如来の鎮座するところは小さな土盛りの上の、お堂というよりも「祠」と言ったほうが良いものでした。この土盛りは、あるいは昔の人のお墓、塚ではないか、と想像しました。

その左脇に、雑木の間をきれいな小径が延びていました。興味をそそられて入って行くと、200メートル歩いたところ、ほんの2メートルほどの土の盛り上がりが見えてくると、そこに木立に囲まれて石仏が立っています。その基部には「龍王山神宮寺 般若院別当」とあり、寛延3年(1750)8月8日の造像銘がありました。

平賀の仁王尊は、印旛村史でも寺名があるのみで、詳細は不明です。しかし、その小さなお堂と雑木の小径は、何故か心惹かれるものがあります。小さな部落の厚い信仰心による暖かさ、安心感のようなものを感じさせるのでしょう。祠と石仏を乗せた土盛りの存在も、とても気になっています。